地雷に守られるペルシアヒョウ
イランを中心にイラクやアフガニスタンなどに生息するペルシアヒョウは、今や絶滅が危惧されています。その分布域は以下の地図の通りです。ペルシアヒョウはヒョウの中でも大型の亜種で高山林から広葉樹林、ステップにいたる多様な環境に生息できますが、砂漠、雪山、都市近郊には見られません。
元々、この地域にはライオンやチーターなども広く生息していましたが、今や多様な環境に適応できるヒョウが辛うじて各地に散在しています。
近年は生息域が狭まる中で、イランとイラクにおいては地雷に囲まれて人間が入り込めない土地がヒョウにとって数少ない聖域となっています。ヒョウは人間とほぼ同じ体重ですが、柔らかい肉球を持つ四本足のしなやかな足取りのために直立二本足の人間に比べて体重が分散されます。よって、人間なら地雷が爆発して入り込まない土地に難なく入り込めます。
こうした事情は両国が長年の戦乱にあったために、逆にこうした聖域ができてしまいました。しかしながらサダム・フセイン時代の地雷も撤去され、元の住民がヒョウの生息域近くに戻って来たり、石油会社がそうした土地で操業するようになるとヒョウ生息地が脅かされるようになったのは皮肉です(” For Leopards in Iran and Iraq, Land Mines Are a Surprising Refuge”; National Geographic; December 19, 2014)。
ペルシアヒョウの将来はどのようになるのでしょうか?